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2005年2月19日土曜日今天還是多音字的話題

発音の話 発音の話 - 流浪在日本 を含むブックマーク

この前「語音」「読音」について書きましたが、いろいろ研究してみると、私の観念もいくつか間違いところがあって、今日はまたこれについてもっと詳しく書きたいと思います。

中国語に、漢字の「一字多音」の現象は少なくとも「破音」「正読・又読」「語音・読音」「訳音」など4種類があります。

一字多音の種類と説明

破音

これは一番知られているケースです。破音は、違う発音によって、違う意味を持つことです。

正読・又読

今の標準語は北京語です。しかし、北京語は歴史が浅い方言であり、古代の中原に使われている中国語の発音は、いまの方言に近いと言われています。その証拠として、「水道水」ということばは、ミンナン語(台湾語)で「ズイドウズイ」と読んでいますが、北京語にはこの言葉がありませんが、しいと読めば「sui3dao4sui3(スエーダウスエー)」になります。日本語の読み方は「すいどうすい」で、ミンナン語のほうに近いですね。そして、日本語漢字の音読も唐・隋の頃に輸入した発音です。

北京語を使っている今、唐詩などの古文を読むときに、平仄*1や韻*2の一致性を保存するために、方言からほかの発音を採用することがあります。このとき、北京語の発音は「正読」と言い、方言から採用された発音は「又読」と呼ばれています。

この前私が説明したのは、この正読・又読です。

漢字 正読  又読
亞    ya4     ya3
秘    mi4     bi4
徊    huai2   hui2
語音・読音

中国語は昔から、白話と文言は違います。恐らく紙はまだ発明されていない時代に、重い竹に文章を書くとき、少なくとも重さを軽くしたいので、文章はできるだけ少ない文字で書きたいです。そのため、文言の文体が発明されました。注意すべきのは、話すときには同じく白話を使います。決して文言でしゃべるわけにはありません。

で、ここで問題が起こりました。話すときに使う発音と文章を読むときに使う発音が違うことがよくあります。その原因はわかりませんが、恐らく白話の発音で文言を読んだら意味がわかりにくくなるだろう。

今の北京語は白話ですが、文言の熟語を多用しているため、語音と読音はばらばらになっている現状です。まだよく知られている例として、「閉門造車」の「車」の発音は「ju1」になっていて、これは読音です。しかし、最近「che1」で読む人も多くなりました。 方言なら、語音と読音をはっきり区別しないと意思疎通できないことはまだ多くあります。たとえば、ミンナン語には、「駛(駆ける)」という漢字が文言の「駕駛」の時に読音の「スー」で読みますが、口言葉の「駛車」の時に語音の「サイ」で読みます。「駛車」の駛をスーで読んだり、駕駛の駛をサイで読んだりしたら、意味はわからなくなってしまいます。しかし、これは破音ではない、なぜなら発音は違いますが、意味はまったく同じです。

つまり語音・読音は昔から存在しました。ほかに「規則のあるペアであり」という特徴があります。たとえば同じミンナン語の「似」という漢字ですが、文言の「相似」にはスーで読み、白話の「熟似」にはサイの発音です。つまり「駛」も「似」も、「語音:サイ、読音:スー」になっています、ほかにも「使」も同じです。


よくある誤解として、読音の歴史は長い気がします。おそらくそれは読音って文言の発音のためでしょう。実際、言葉って、「書く」より「話す」は先なので、一般の場合、語音の歴史は古いです。

漢字 語音  読音
百    bai3    bo2
液    ye4     yi4
血    xie3    xue4
更    jing1   gen1 (三更半夜の更。更好のgen4は破音です)
色    shai3   se4

この前も言ったように、北京語を台湾中国全国の標準語になったのは、政治の影響であり、もともと北京以外の人々は北京語をしゃべることができませんでした。これらの北京語は母語でない人にとって、語音・読音を区別する「語感」がありません。まるで新しい言語を学んでいるように、どっちも使えそうな感じで、発音は曖昧になる一方です。*3 その結果、北京語での語音と読音の区別はだんだん曖昧になってきました。競争の結果、語音は生き残ったケースが多いけど、読音のほうがより多く使われているケースもあります。

訳音

昔の翻訳ポリシーなのか、外来語は漢字翻訳されていても、漢字を本来と違う発音で読むケースがあります。「法國」の法を「fa4」*4で読むとか、「俄國」の俄は「e4」で読むとか。

また、仏教の「南無」は「na2mo2(ナーモー)」で読みます。

台湾での現状

ばらばらな発音を解決しようと思い、教育部の国語会は80年代から「国音正読専案」を開始しました。これは学者たちが討論したり、会議室で決定できない文字なら全国の国語の先生アンケートを出したり、文字の発音を整理するプロジェクトでした。そして十数年もかけて、1999年に、「國語一字多音審訂表」を発表し、国字の発音を統一しました。この審訂表はインターネットで公開されています:http://www.edu.tw/EDU_WEB/EDU_MGT/MANDR/EDU6300001/allbook/kyjd/c15.htm?open

審訂表は、下記の原則で、文字の発音を整理しました。

  1. 発音は簡単化・標準化にするべきだ。違う読み方にしなくともよい場合は、一つの発音に統一します。
  2. 古文で現在あまり使われていない発音は無視する。
  3. 原則的に現代の口言葉の発音のみ整理する。格律(平仄・韻など)や古代地名の特別の発音は収録しない。
  4. 整理のポリシー
    1. 語音・読音
      • 語音と読音はすでにはっきり違う言葉に使われている場合は、破音としてどっちも保留する。
      • 語音と読音は混用されていて、一つに統一できる場合は、統一する。
    2. 正読・又読
      • 正読と又読は、原則的に併合する。常用なのを保留する。
      • 又読の場合、意味は違う現象があったら、破音として処理する。
    3. 破音
      • 破音は原則として保留する。
      • 破音は混用されている場合、文章の意味を影響しない限り、併合を認める。

民主社会なので、テレビアナウンサーに「この発音で読め!」とか要求できないため、教科書にしか使われていない現状ですが。 国語辞書編集者も、決してこの審訂表に決めた発音を採用するではない。

しかし、この審訂表はあくまで学者の討論の産物であり、現実を無視したり、あまり使われていない発音を保存したり、常用の発音を削除したりことが多発しています。 この審訂表が載っている発音は小学校教科書の発音になるため、学校社会のギャップはこれからも続くだろう。

國語一字多音審訂表の矛盾については、下記のページを参照してください(繁体字中国語・注音):ページ1 ページ2

辞書の場合

私の印象では、小学生向けの辞書なら、破音だけでなく、「正読・又読」「語音・読音」も詳しく載ってます。小学生は国語辞書を一番使う人なので*5小学生向けの辞書の編集はほかの辞書より詳しい傾向があります。(改訂の次数も一般の国語辞典より高いです。)

しかし、今日本屋に立ち寄った結果、國語一字多音審訂表の発表によって、今の小学生向けの辞書も審訂表に対応するようになりました。小学生の両親は子供辞書を買うときに、カバーに「教育部新標準対応!」を書いている辞書を選ぶはずなので、売り上げはなにより大事だ(笑)! 結局辞書を何冊も立ち読みした結果、「液」を「ye4」しか載っていない辞書は圧倒的に多かったです。

まだ「yi4」という読音を載っている辞書は国語日報出版社の「国語日報辞典」と新学友の「新学友国語辞典」しか残っていないです。 古いものでなく、これらの辞書も持続に更新していますが、多分編集者ポリシーで、削除したくないのだろう。 どっちも小学生向け辞書の名作なんで、おすすめします。 小学生向けなので、注音は詳しくて、語釈の中国語も読みやすいはずだと思います。 また、「新学友国語辞典」は漢語ピンインも表示されているそうです。


台湾人が話すときに使われている発音だけ載っている辞書は、残念ながら、多分ないですね。 ある意味、すべて通用の読み方に妥協するのもいいことではないから、辞書としては、守らなければならない「このこそ正しい中国語だ」という最低限の原則があると思います。 でもやっぱり液は「yi4」で読みたいです!

*1:漢詩や駢文(べんぶん)で、声調の調和のために規定される平字と仄字の配列法。

*2:同一の韻母、または類似した韻母をもつ漢字を分類したもの。中国の韻書における漢字分類の単位

*3:私たち外国人にとって、日本語の「万」は「ばん」か「まん」かいつも悩むこととはそっくりです。

*4:同じくフランス意味の「法郎」「法碼」もfa4を読むべきだが、今はfa3で読む人が多くなりました。

*5一般人小学校卒業してから母語ならわからないことばがあってもわざわざ辞書を調べよう行動力がないです。逆に英語辞書とか外国語辞書をよく使っています。

QianChongQianChong2005/02/19 22:02私は先に大陸で学んだので“液”が“ye4”でなく“yi4”なのは、正直何となく気持ち悪いのですが、buttwさんが「でもやっぱり液は「yi4」で読みたいです!」という気持ち、とてもよくわかります。それこそが母語の母語たるゆえんでしょう。そういう意味では「台湾人が話すときに使われている発音だけ載っている辞書はない」というのはとても残念ですね。
それにしても勉強になるなあ。“專業”の面目躍如というところでしょうか。しかも日本語でここまで書かれているのですから、これはすごいことです。ひるがえっておのれの北京語能力を顧みて、果てしなく落ちこみそうになります。

buttwbuttw2005/02/19 23:14語音も読音も正しい発音なので、強制的に一つ正しいのを選んで、選ばれてないほうを間違うとするのは納得できない気がします。 最初は気持ち悪いかもしれませんが、中国語の「台湾弁」に思い直せば、大阪弁のように可愛く感じられるはずです。中国に行ったらye4で話したくなったり、台湾に来たらyi4で話したくなったり(笑)。
私も前から「大阪に行けば大阪弁でしゃべりたい」と思いましたが、大阪に行ったらなかなか話せません。いつか上達になりたいです。
日本語については、はてなダイアリーを書いた以来、長文は書けるようになった一方、助詞の使い分けはだんだん退歩した気がします。どうしましょうか?

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