オボエテタンゴ

2018-09-22体感5秒

やっと迎えた手術当日。

前夜より絶食だったため、私はハラペコであった。

朝イチから点滴が入っていたので、喉の渇きはなかったけれど

お腹が空いて力が出ない~

11:30からの予定が、12時過ぎてもまだ呼ばれず

病棟内に漂う昼食の香りで、更にお腹がぐーぐー鳴って

付き添いで来てくれた夫に緊張感がないと笑われた。


12:30過ぎにやっと呼ばれ、ストレッチャーに寝かされ

夫に手を握られて励まされ、手術室の扉の向こうへ、、、

私、がんばる(涙)!

なんてドラマ仕様ではなく、自分で点滴台を押しながら

てけてけ歩いて手術フロアーへ行った。


なんだか面白みに欠けるなぁ、と思ったが

やはり手術室は別世界で、うひょー!

リアルブラックペアン!ドクターX!

超近代的で宇宙船みたい!

デジタル機材がてんこ盛り!

ライトぴかぴか!眩しい~!

手術台ほかほか!温かい~!

なにやらご陽気な曲がかかってる~♪

はっ!?

もしや希望を出せば、好きな曲をかけてもらえたのだろうかっ!?

いやいや『紅』はさすがにマズイだろう。

ここでは染まりたくないし、『X』でジャンプする訳にもいかぬ。


仰向けに寝る前、自らパジャマの上を脱ぐのだけど

若い女性看護師が上半身を毛布で隠してくれてね。

手術始まったら、恐らくすぐに真っ裸にされて

あれこれ管入れて~、なのだろうに

意識があるうちは気を使ってくれるのが嬉しかった。

そうした小さな気遣いが、患者にとっては心に残り

治療へのモチベーションが保てたりすることもあるよな、と心にメモメモ。

あらヤダ、私ったら勉強熱心。


「lingさ~ん。お待たせしてすみません。緊張されてます?」


するると近づいて来た女性。

はて?

オペ用マスクと帽子で良く分からないけど、I先生!?

あれ?

執刀医って手袋した両手を顔の高さに挙げて

最後の最後にちゃら~んと登場するのではないの!?

I先生、看護師らに紛れてますけど!?

きさくにおしゃべりしてますけど!?


見渡すと、男女混合10人以上のスタッフが居て

あれよあれよという間に、脳波やら血圧やら

いろいろな装置が手際よく着けられて

それが仕事と言えばそうだけど、こんなに沢山の人たちが

自分の命のために動いてくれているのかと思うと

ありがたさで泣きそうになるワタシ(;_;)


麻酔が入る前、最終確認。

データをパソコンに打ち込んでいるのだろうか?

仕切り役の若い男性看護師がワタワタしてて

年配の麻酔科医につっこまれていた。

若い子、いじめんといて~(完全に母目線)


I先生から患部の位置、術式、輸血の可能性などの説明。

麻酔科医から麻酔の種類、予定時間、人口呼吸器の説明。

以上を了承した上で、私が自分の名前を言って麻酔注入された。

皆さん、よろしくお願いしますぅぅぅ!!!


イ~チ(≧◇≦)


ニ~イ(≧◇≦)


すこっ!



以前にM子が全身麻酔で手術した時、意識を失うまで

がんばって5秒数えるつもりが

3秒ももたなかった!と悔しがっていたので

私も5秒は耐える!!と意気込んでいたのだが

2秒以降全く意識記憶なしという惨敗であった。

すごいな全身麻酔!


そしてう~ん、むにゃむにゃ、ではなくパキッと目覚めた。

蛍光灯が眩しい!

えっ!?

終わったの!?

それこそ体感5秒なんですけども!?

大勢のスタッフに囲まれて、ベット動いてる?運ばれてる?

て、て、転移はあったのか!?

そこんとこ、どーなの!?

足元に居るのは形成のU先生か!?

ならば再建もしたのか!?

それにしては5秒て早すぎないか!?

誰か教えてーーー!

目は覚めているけど、話せない~!

そこへ聞き覚えのある声が!


「リンパ節への転移はなかったので、予定通り再建しましたよ!」


完全オペ着仕様でも、くりくりお目目で分かるA先生!

あぁぁぁありがとうございましたぁぁ

転移なかったぁぁ

良かったぁぁ

びえーん(ToT)


すぐにベットが止まり、酸素マスクを着けられた。

ここは回復室ってやつかしら?

と思うが、いや自分の病室だよと気づいて驚く。

テレビの後ろに隠しておいた、HIDEちゃん人形を見つけたのだ。

それは娘が持たせてくれたもの。

この歳で入院の荷物にぬいぐるみを入れるのは

さすがに恥ずかしいよなぁと躊躇していたら、娘が


「推しは絶対に必要!絶対に!!」


と、ぐいぐいカバンに入れてくれた。

あぁ娘よ。君の言う通りだったよ。

HIDEちゃんの赤い髪を見て、無事に生還した実感が沸いたよ。


でもまだ意識はトロトロしていて、患部の痛みもよく分からない。

そのうち夫がやって来た。

I先生から、手術結果の説明を受けていたらしい。

なんともう、4時間以上経っていたなんて!?

ずっと待っていてくれてありがとうね。

家で待っている子どもたちが心配だから、帰っていいよ。


それから2時間、だんだんと感覚が戻ってきて

右側上半身がバキバキに痛い~!

ウトウト寝る

腕が肩からもげる~!

ウトウト

もげるーーー!

を繰り返していると、I先生がするる登場。

I先生ぃぃぃぃ

ありがとうございましたぁぁぁ

痛いですぅぅ


「やっぱり痛いですよね。痛み止め、入れましょうね」


I先生は、多分お帰りになるところだったのだろう。

私物の白いリュックを背負ったまま、痛み止め点滴を追加してくれた。

それがまぁ、抜群に効いて!

意識もしっかりしてきたし、食欲も出て来たし

もう歩けるかも?

酸素マスクと尿道管を取りましょうかと、看護師が処置をしてくれた時

聞き覚えのある声が!


「lingさ~ん!お疲れさまでした!」


ぱあぁ~っと明るいオーラ全開で現れた男性。

はて?

は、はて?



K先生ーーーーーーっ!



「今日、手術って聞いてたんで!」

「いや~、無事に終わって良かった!」


超絶笑顔!

爽やかな私服!

クリニックの帰りにわざわざ!?


「病理検査の結果が出るまで、今後の方針は決められないけれど

今それを心配してもしょうがないのでね!」

「とりあえず、身体を回復させるためによく休んでください!」

「何か問題があったら、一緒に考えましょう!」

「じゃっ!お大事に!」


だばぁぁぁぁーーー


今回は本気で泣きました。

こりゃ泣くでしょ!?

泣くよね!?

惚れるよね!?


K先生は、クリニックから紹介した患者が手術した日に

必ずこうして見舞いに来られるそうで

そんな先生は珍しいです、とベテラン看護師が教えてくれた。


嬉しかった。

純粋に、本当に嬉しかった。

それで私は治ると確信した。

いや、治さなければならない!

この先にどんな辛い治療が待っていようとも!

うおぉぉぉ!(炎)


てな訳で、冷え切った夕食をもりもり食べ

応援メッセージをくれた友人らに、手術完了の返信をして

自力で歩いてトイレにも行って

ipodでYOSHIKI CLASSICALを聞きながら、ぐーぐー寝た。

神様、ありがとうございます。

助けていただいた命、大事に使います。


本日のオボエテタンゴ

赤条条

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すっぱだか

入院中は羞恥心が麻痺

2018-09-18手術前日

手術日の前日朝から入院で、指定されたナースセンターへ行くと

入院手続き待ちの患者で渋滞していた。

そこは女性病棟で、患者は乳腺外科と婦人科のみである。

それでこの人数、、、何度も言うけど、どんだけー


私のベットは、共同の洗面所が付いている4人部屋。

看護師さんが「今日から入院のlingさんでーす!」なんて

紹介することもなく、静かに入る。

だって皆さん、カーテンぴっちり閉めてるし!

誰も出てこないし!

都会の病院は、こんなものなのね。

まぁ、後々には同室の方々と仲良くなれたけどね。


荷物の整理、アナムネ(看護師による聞き取り面談のようなもの)

病棟の説明などを受けていたら、あっという間に昼食だった。

あぁ~夢にまで見た、上げ膳据え膳生活の始まりである。

息子を出産以来だから、10年ぶりか?

しかも今回は赤ちゃんのお世話もなく

好きなだけ寝られるし、読書もできる!

自分だけのために使える24時間!

嬉しーーーっ!


そんなにおいしい食事ではないけれど

献立考えず、買い物にも行かず

後片付けもしなくていいなんて、最高じゃない?

人生でこんな期間があってもいいんじゃない?

しみじみ幸せと白米を噛みしめていたら

「lingさん、そろそろ検査の時間です~」って呼ばれちゃった。

本日のメインイベント。

『センチネルリンパ節シンチグラフィー』である。


乳ガンのガン細胞は、リンパの流れに沿って

最初に到達したリンパ節を必ず通ってから

全身に広がる性質があるらしい。

その第一関門、脇の下のリンパ節集結場所みたいな所を

『センチネル(見張り番の意味)』という。

乳房そのものの手術中に、この脇センチネルを少し切り取って

すぐに転移の有無を病理検査する。

有の場合は、リンパ節までごっそり切除。

無の場合は、そのまま縫合。


で、このセンチネルの場所を見つけやすくするため

前日に色のついた放射性医薬品をリンパ節に流しておく。

薬剤を乳輪皮下に注射するってさ!

ぴや~~っ(◎_◎;)

場所が場所なだけに!痛そーーーーっ!

って、大したことありませんでした。

普通の予防接種くらいの痛さかな?

数時間後、薬剤の流れをレントゲン撮影でチェックする。

これで明日の手術時間が、大幅に短縮されるんだって。


終わってやれやれ~と病室に戻ったら

小型犬A先生が小走りで来てくれた。

私がまだ再建について悩んでいるのを知り

I先生が今ちょっと立てこんでいるので、、、

と申し訳なさそうに前置きして

放射線治療の可能性

再建した場合の治療への影響

いろいろいろいろ、お話してくださった。

はぁ~、くりくりお目目が可愛いなぁ!(ポイントはそこじゃない)

それでやはりI先生のご提案通り

リンパ節への転移が有の場合は、再建しないことにした。

ファイナルアンサー!

決定です!


それでまたやれやれ~と思ってたら

間もなくしてI先生が、音もなくするると登場。


「遅くなってすみません~」

「Aから聞きました。ご不安は消えましたか?」


はいぃぃ!!

身体に決めてもらいますっ!!

ついでと言ってはナンですが、、、


実はMRI検査の後、電子カルテ上に映る映像をチラリと見て

左胸にも小さな影があったような気がした。

専門家の技師と、専門家の複数の医師が見て

左胸は異常なしと診断しているのに

私はどうもそれがひっかかっていた。

でも聞くのはクレーマーみたいで

素人のおばはんが何言ってるの?と思われそうで

言い出せなかった。

しかしこのまま全身麻酔で手術して

万が一、三途の川を渡っちゃったら

泳いで帰ってこられない!と思い、勇気を出して聞いてみた。

するとI先生はあら~って感じで


「ちゃんと検査したから大丈夫ですよ~」


と笑ってくれた。

そ、そ、そ、そうですよね!?

先生方が見落とす訳ないですよね!?

つまらない事聞いてすみません~(+o+)


「でも後で画像を見ておきますね」


去り際、I先生は微笑みながらそう言った。

忙しいのに、悪かったな~

我ながら、気にしすぎだよな~

でも聞けて良かった!

またまたやれやれ~と思っていたら

I先生が何やらペラ紙を持って、再びするる登場。


「やはり大丈夫でしたよ~!」


それはMRI検査の画像と、診断結果を印刷したものだった。


だばぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ(心中号泣アゲイン)


わざわざプリントして持って来てくれた!?

忙しいのに!?

一患者の些細な気がかりのために!?


実は私、それまでI先生に対して、K先生ほどの信頼を寄せてはいなかった。

良い先生であることは分かっていたけれど

この先生なら、任せられるとは思っていたけれど

なにかこう、あと半歩くらい距離があった。

でもこの一件で、すごく安心してI先生を拝みたくなった。

ありがとうございます!!

明日、よろしくお願いします!!


感謝と感動に震えていると(嘘)

今度は形成外科のU先生が、若手を数人連れて来た。

術式の説明、確認と、患部のマーキングをするという。

立った状態と手術で寝た状態では、乳房の位置が異なるので

事前に印を付けておくそうな。

こ、これはまたしてもプレイか!?


ベットの横に、半裸で立たされる私。

U先生の指示の元、マーキングをする若手男性医師。

それを直立不動で見つめる、若手男性医師2名と女性看護師1名。

静寂の中、響く油性マッキーのキュキュッ音。

上半身の正中線、アンダーバストのライン、膨らみのラインなどをなぞられ

これで腹筋を6パックに描けば、仮面ライダー?

そんなツッコミを入れたくても

形成の先生方は皆さん真面目で無言で

粛々と作業に集中のため何も言え~ず。

U先生の寝ぐせの後ろ姿を、見送るだけしかできなかった。

先生、今夜は良く寝てくださいね。


夕食後、シャワー室の鏡で見た上半身は、

マーキングがすごくて我ながらプププだったけど

この右胸と今夜でお別れかと思うと、ちとしんみり(;_;)

学生時代から貧乳と言われ続けていた胸が

妊娠・出産で大きく様変わりしたのには驚いた。

娘を産んで、初めて授乳した時。

吸引力の強い息子に噛まれた時。

乳腺炎になってカチカチに固まってしまった時。

ドロドロの母乳を絞り出すマッサージは、出産よりも痛かった。

息子が卒乳してからというもの、痩せたというより削げてしまい

授乳全盛期の大きさは、まぼろしだったのでは?と思った。

こんなに色々とがんばってきたおっぱいを

切り取らなければならないなんて!?


命のためということは分かっている。

だけどさ、女性の人生って喜びと引き換えに

身も心も削られることが、男性より多い気がするな。

だから男性より長生きして

人生の後半を思い切り楽しむようになっているんじゃないかな?

私は明日、身体の一部を失ってしまうけれど

失った分を埋めて有り余るほどの

新しい何かを得られるはず!

まだまだ続く~

長いー


本日のオボエテタンゴ

翻两番

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4倍増し

授乳中はまさにコレだった!遠い目、、、

2018-09-12レジリエンス

手術日が決まってから、あれやこれやと猛烈に忙しかった。

予備校の休学届は、前々月末が締め切りだったので間に合わず。

先生方に事情を話したら入院ギリギリまで

みちみちに振り替え授業を入れてくださった。

いやはや、ありがたいのだけど

3コマ通しって、6時間なのだけど

私の脳みそ、もつかしら!?


そして突然、洗濯機が壊れた。

この猛暑で洗濯物山盛りだというのに!?

もう10年以上使っているから、買い替えてもいいのだけど

納品よりも修理の方が早かった。

それに新製品を検討する判断力がなかった。

今、大物の買い物は危険だよね。

直るまでの数日間、近所のコインランドリーへ

自転車で何往復しただろうか?

暑いよぅ、暑いよぅ。


そんな中、薬剤師による問診。

アレルギー、常用薬の有無の確認を受け

サプリメントや青汁は、退院まで停止となった。

続いて麻酔科医による診察。

全身麻酔って、すやすや寝ている訳じゃないのね。

自発呼吸が止まるので、人口呼吸が必要なのね。

気道確保の挿管のため、口が大きく開くか?

歯がぐらついていないか?などをチェックされた。

事故などで緊急手術の時、口が硬くて挿管しにくい場合は

その場で歯を折ったり、抜いたりすることもあるんだって!

ひえーーー(;゚Д゚)

ワ、ワタシ、顎関節症なんですけど、大丈夫でしょうか!?


「あーんして!OK!いけるいける!」

「なるべく、んがっ!って開けないようにしますからね~」


ノリのよい麻酔科医であった。

手術当日はやさしめに開けてください。


しかし外出続きで予習、復習が追い付かない。

課題のレポートも家事も溜まってゆく。

主婦としての通常業務が滞ってきたので

子どもたちには、入院直前に母の病気を話す予定だったが

中3の娘には、先行で知らせることにした。

病院からもらったガイドラインに沿って

包み隠さずに検査、入院、手術、治療の過程を話すと

さすがに「ガン」という言葉には驚いていたが

すぐにフムフムと納得したようで


「じゃあ、お母さんがんばらないとね!」

「この夏、私の家事スキルが上がるわね~」


我が子ながら見事に落ち着いていた。

前々から思っていたが、この子はいつの間にこんなに大人になったのだろうか?

これまでも二人で話していると、時々娘であることを忘れて

うっかり大人の事情まで相談してしまいそうになった。

「何でも話せる友達みたいな母娘」って

今時流行っているようだが、それは発達心理学的にあまりよろしくない。

未成年で成長期の子どもに、親の責任や苦労を負わせると

後々になって問題が起こりやすいと言われている。

しっかりしている子。

頼りになる子。

だからと言って、親と同じ土俵に上げてはいけない。


その数日後、中学校で進路の三者面談があった。

受験の話が終わった後、ベテランの女性担任に母の現状を話すと

先生は「お話いただき、ありがとうございます」と頭を下げ

娘に厳しくも温かい励ましの言葉をかけてくださった。

その時、娘が少し泣いた。

久々に見た娘の泣き顔は、幼稚園の頃と同じだった。

あ~、私は母としても

心理士を志す者としてもまだまだだな。

不安にさせてごめんね。


娘が母の身体を気遣ってくれたり

家事をこなしてくれるのは、大変にありがたい。

痛いーー、とか

しんどいーー、とか

母が時々弱音を吐くのもいいだろう。

でも、親の私自身が奥底に抱える気持ちは

娘に悟られないようにしなければと改めて思った。


一方小4の息子は、夏休みに入るなり風邪をこじらせ

発熱1週間、咳2週間以上。

寝室が別でも、息子が咳きこんだら目覚めてしまうし

アイスノン替えたり、水飲ませたり、背中さすったりで

母はもれなく寝不足である。

成長に伴い、最近は父と過ごす時間の方が長かったが

病気になると、やはりおかあさんおかあさんおかあさん。

身体が弱っている時は、気持ちもネガティブになりやすい子なので

結局入院前日まで、母の現状を話すことが出来なかった。


おかあさんは、おっぱいの病気で手術するため

明日から2週間入院します。

その間君は、お父さん、お姉ちゃんと留守番しててください。

退院しても、お薬の副作用でしんどいことがあります。

その時は協力してね!

今まで以上に、自分のことは自分でするんだよ!


「ガン」という言葉は言えなかった。

「ガン=死」と直結し、パニックになるかもしれない。

一度ネガティブな沼にはまると、なかなか抜け出せず

長期間フラッシュバックすることがある子だったから。


母の話を聞いても、ふーん。はーい。

全く関心のない息子。

今はそれでいい。

君はまだ、全部理解できなくていい。

但し担当する家事は、サボらずやりなさいよ!


そして夫。

いろいろ相談に乗ってくれてありがとう。

私の入院に合わせて、夏休みを取ってくれてありがとう。

家族の支えのありがたさを、しみじみ感じてるよ。

あなたと結婚して良かったよ。

が、しかし!

このタイミングで、泊り仕事から

風邪ひいて帰って来るとはどういうことだ!?

息子もまだ治っていないのに!

もし私も罹患して発熱したら、手術が延期になってしまうやんけ!


昼夜を問わず、家中にこだまする男衆の咳きこみ。

最大限の予防策と気合で乗り切る母と娘。

あぁ、今夜もレポート書けない、、、

しかし心理の授業で、とても良いことを学んだ。


◎レジリエンス(resilience)

元々は環境学の用語で、自然災害などの後の、生態系の回復力を指す言葉。

最近では医学界でも使われており、私もうっすらとは覚えがあった。

心理学では「精神的回復力」に近く

困難な状況にも関わらず、うまく回復できる力を意味する。


レジリエンスの特徴は

①自尊感情と正の相関を示す

②ネガティブライフイベントや、苦痛ライフイベントの経験値とは無相関


色々と苦労してきた人は精神的に強いと言われるが

苦労がその人を強くしたのではなく

元々その人の自尊感情が高かったから

苦労を乗り越えられた、という訳だ。

具体例だと、没落した貴族や華族のお嬢様が

無一文になっても逞しく生き抜き

数十年後には生家を復活させる、なんて話

昭和のドラマでよくあったでしょ。

真のお嬢様というのは、どこへ嫁に行っても恥ずかしくないように

甘やかされずにキッチリと育てられ

自尊感情の塊みたいだものね~

(坊ちゃんではあまり聞かないな。謎だ)


そんなレジリエンスの状態にある人の心理的特徴は

①肯定的な未来志向(楽観性)

②感情の調整力

③興味や関心の多様性(思考の柔軟性)

④自己効力感や自尊心の高さ


あれれ?

こんな人、どっかに居なかった?

むむむ?

M子かーーー!?


彼女は私と入れ違いに大阪へ転居となり

初めての関西にビビッていたのも3日くらい。

すぐに地元に溶け込んでいた。

そして3年前に胃ガンを患い、これまたとっとと復活。

以来、私が身体のことで何かグズグズ悩むたび

気持ちに寄り添いながらも、喝を入れてくれる同級生だ。

M子は若いころから超ド級楽観主義で

趣味はスポーツから音楽まで多岐に渡り

ご両親からも、旦那からも、子どもたちからも

愛されていることが良く分かる。

更に医療従事者として現場で揉まれたことで

感情の調整力も身につけたのだろうな。

そんなM子が手術直前、大阪から会いに来てくれた。


「実家に用事があったから、ついでにな~」


なんて言ってたけど

私が告知を受ける前に、えぐえぐ泣いてた頃


「もし黒だったら、会いに行ったるから!」


と、宣言していた。

そうしたら本当に来てくれた。

仕事休んで、夜行バス乗って来てくれた。

も~!惚れてまうやろ!

私が男だったら、絶対嫁にしてるゼ!


ガン患者の先輩として、いろいろとアドバイスを受けた。

今後の気持ちの浮き沈み。

身体の変化。

お金のこと。

家族のこと。

オマケに大昔の恋バナも。

本当に本当にありがたかった。

私もいつか、こんな風に誰かに役に立てるといいな。

それでM子にレジリエンスの話をしたら


「lingもやで。だって私ら、ハマのお嬢やん?」


はっ!?

そうだった!!

M子はすっかり浪速のオカンだけど

私は各地を流れ流れてきたけれど

私たちは生粋のハマッ子でした~!


お嬢様だったかどうかは置いといて(ありえない)

私はこれまでの人生で、自分を卑下したことは一度もない。

父を早くに亡くしてからも

あの母の娘であること、あの祖母の孫であることが

私の支えであり、誇りだったのだ。


「だからlingも大丈夫。すぐ復活するよ。自信持って切られておいで!」


お、おう。

行ってきます!


やっと入院。

長いな~


本日のオボエテタンゴ

好在

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幸いなことに

風邪うつらなかった自分を褒めたい

2018-09-07祈り

我が家にとって第二の故郷

北海道が大変なことになってしまった。

友人、知人らにケガはなかったが

みんな不便で不安な思いをしている。


「周囲が暗いから、星空がなまら綺麗!流れ星も見えたよー!」


まだ停電が続く地域に住む友人から

メールの返信が来て、私は泣きそうになった。

貴重な携帯の電源、使わせてごめん。


少しでも早く、いつもの生活に戻れますように。

大きな余震や二次災害が起きませんように。


本日のオボエテタンゴはお休みします。

2018-09-06入院まで

私の病状は、一刻を争うものではないけれど

ガンだと分かった以上、早く事を進めたかった。

通常、ガンの告知を受けた人は

その事実を受け入れて落ち着くまで

2週間程度かかるらしいのだが

なにせ私の場合は3年前から疑っていたので

心の準備はすでに完了。

今までの迷いや悩みが嘘のように消え

スッキリさわやか清々しい~!


やっと白黒ハッキリしたぜ!

速攻手術で全部切っとくれ!

抗ガン剤、放射線、ホルモン治療のフルコースばっちこい!

ツルッ禿げになったら、XJAPANのHIDEちゃんみたいに

ピンクのウィッグにするんだい!

と、鼻息が荒すぎて夫に引かれつつ

週明け、K先生の紹介状とマンモとエコーのCDと

組織の検体(中身は見え~ず。当たり前?)を持って

いざ、某大学病院へ!


以前、ここでメスを握っていたK先生によると

紹介状の宛名はすべて乳腺外科部長になるが

初診は若手が担当し、術前検査の結果を全スタッフで検討する。

治療方針は患者を含むチーム体制で決めるようになっていた。

患者から主治医の希望を申し出ないと、空いている医師に振り分けられる。

乳ガンの治療は長いので、相性が悪かったら辛いよね。


今の医療って、主導権は患者にあり

医師に全てお任せ~という訳ではない。

自分の病気について、正しい知識を持っていないと

そして自分はどうしたいか?自ら意見を述べないと

どんどん流されてしまう。


こうして私も体験談をブログに書いておきながらナンだけど

ネットの情報というのは信憑性に欠けるものが多い。

特に告知前の不安MAX時は、悪い事ばかりに目がいって益々落ち込む。

もしくは新しい治療法とか、名医とか、神の手とか

何か特別なものに頼りたくなってしまい、客観的な判断を鈍らせる。

だから私は癌センターや、乳ガンの学会が公表しているサイトだけを参考にした。

そして第一の主治医であるK先生のアドバイスを、全面的に信じた。


で、初診。

受付を済ませて通された乳腺外科のフロアには

20代から70代くらいまで、各年代の女性が揃っていて

待合のソファはびっしりだった。

この人たちが全員乳ガンて訳ではないだろうけど

朝イチでこの人数って、古いがどんだけーーー!?


初診担当は小型犬みたいに可愛らしい女医さん。

このA先生、後に執刀医の助手としてずっとお世話になるのだが

若いのに腕が良く、説明も気遣いもしっかりしていた。

大学病院でここまでくるのに、大変な苦労をされてきたのだろうな~

きっとご両親にとって、自慢のお嬢さんなんだろうな~

と、いちいち想像してしまうところがおばはんである。


その日は再度エコー検査を受け

・手術が必要な乳ガンである

・現段階では、病巣の数と位置から見て全摘が望ましい

・乳頭・乳輪をどうするかは、執刀医と相談で決める

・リンパ節や他臓器への転移は、MRI検査でチェック

・手術で摘出した病巣を病理検査して、結果によってその後の治療を検討

・乳房再建を希望する場合は、別枠で形成外科の診察が必要

などなどの説明を受け、最後に執刀医の希望を聞かれた。


「I先生でお願いしますっ!!」


待ってましたとばかりに答えるワタクシ。

K先生とじっくり話し合って決めた、同年代の女医さんである。

自分のこれまでの病歴で、女医さんに良い思い出はないのだが

なんだかI先生は合う気がしたのだ。


I先生の診察日までに

尿、血液、胸部x線、心電図、MRI、心臓エコーとびっちり検査!

そして形成外科の予約も入った。

まだその時は、手術は9月か10月上旬だと思っていたのだけど

I先生の手術枠に急なキャンセルが出たらしく

8月頭にスルっと入れてしまった。

それからはドタバタだったけれど、これもきっとご縁。

私ついてる!


乳ガンに関しては、一通りの知識を備えていたが

形成外科による乳房再建については、イマイチ勉強不足であった。

自他ともに認める貧乳ですし、この歳だしねぇ。

そんなに拘りも喪失感もないかなぁと思いまして。

でも○姉妹のように爆乳の人が片方摘出すると

身体のバランスが崩れて背骨が歪んだり

肩こりがひどくなったりすることもあるんだって!

喪失感で、精神的に病んでしまう人もいるみたいだし

やはり身体に本来二つ備わっているものが

一つ失われるって、大変なことなんだな。


私は幸いにも二人の子供を授かり

二人とも完全母乳で育てることができた。

小さいながらも機能的には優秀だった私の乳房。

だからお疲れ様の意味も込めて、再建しようと思った。


乳房再建には、自分の組織(背中やお腹の筋肉)を移植するものと

シリコンのインプラントを入れる方法がある。

(ほかにもあります。詳しくは乳ガン学会のサイトへ)

出来上がりの良さは移植が上のようだが

手術は長時間、入院も長くかかる。

私は高校生の時に盲腸の開腹手術をしているので

腹部からの移植はできないそうだ。

背中の肉もほとんどないしな~

切り取られた部分、痛そうだな~

近年、シリコンの再建が保険適用になったようだし

回復の早さ優先で、シリコンに決めた。


ちなみにシリコンを使った同時再建手術というのは

①乳腺外科医が患部側の乳房を切開して、乳腺を削除

(肉まんの皮を残して、肉だけ取り除く感じ)

②脇の下のリンパ節に転移がないか?少し切除してその場で病理検査

③転移があればリンパ節を摘出。なければそのまま縫合

④形成外科医とバトンタッチ

⑤空洞となった部分にエキスパンダーを入れて縫合

(生理食塩水の入った風船のようなもの)

⑥完了


術後、患部の皮膚を伸ばすため

半年から8ケ月かけてエキスパンダーに数回注水する。

いい感じに伸びたら、エキスパンダーを取り除き

シリコンを入れて完成。

その再手術は、3泊くらいの入院でできるらしい。

更にその後、希望によって乳輪・乳頭の形成術もあり

これはもうすごい世界なので、今は割愛。


さて形成外科の初診日。

噂には聞いていたけど、、なにかのプレイでしょか?

スタッフ数名の前で半裸で立たされてね

身体の至る所を計測されるのですよ!

あんな所もこんな所もそんな所もミリ単位でね!

測るのは若い女医さんだったけれど

パソコンにデータを打ち込んだり、計測器を選んだり

胸の大きさとエキスパンダーの大きさを比較するのは

執刀する男性医師でね!

最後は3D画像も撮られてね!

色んな角度からぐる~んと自分の上半身を見て思ったね!


この1年、腹筋やっといて良かった、、、( ;∀;)


五十過ぎのおばはんの身体など、興味ないのは重々承知!

お医者さんなのだから、見慣れているのも承知ノ助!

だからこれは自分自身の問題なの~

3D画像で、腹直筋のラインが見れて嬉しかったの~


形成外科医の先生というのは、これまた超偏見だけど

女性は美人でピッとしている人が多くて

男性は大人しくてプラモデルが上手そうな人が多い。

美への探求心や、手先の器用さが必要な分野なのだろうか。

執刀医のU先生、ガンダム好きそうだわ。


一通りの検査を終えて、数日後ついにI先生の診察へ。

I先生の説明は、K先生を更にフラットにしたような

むっちゃ親身!って感じでもないが、分かりやすかった。

MRIの結果では、脇への転移は認められないが、100%確定とは言えない。

採取した細胞の病理結果は繁殖力が弱めのタイプだったが

手術で摘出した病巣の病理結果と異なることもある。

つまり開けてみなければ、何事も確定はできないという訳だ。

だから今できることに集中しましょう。

乳輪・乳頭に関しては、病巣が真下にあるので残さない方が良いでしょうと言われた。

どうしてもという場合は、他の医師と再検討します、とのこと。


「先生ご自身でしたら、どうしますか?」

「再発を避けるため、摘出します」

「では取ってください!」

即決。

迷いはなかった。


それよりも困ったのは、再建でエキスパンダーを入れると

金属の部品があるため放射線治療ができないということ。

乳房を全摘出しても、脇リンパ節への転移があった場合は

放射線治療が必要なこともある。

再建は先送りにして放射線治療をすると

皮膚が伸びにくいのでエキスパンダーは使えない=移植再建が望ましい。


え~~、そんなーーーっ


脇リンパ節への転移があった場合

通常は先に抗がん剤治療で、その間にエキスパンダーで皮膚を伸ばし

シリコンに入れ替えてから放射線治療になるらしいのだが、、

何だかタイムロスがあるような気がして不安になった。

再建が治療の妨げにならないのか?

再建のタイミングは、今なのか?

そもそも私に再建が必要なのか?

これが自分で決める医療ってやつ!?


「脇リンパ節への転移が認められたら、再建はしない、ということもできます」


悩む私にI先生が助け舟。

おお!そんな手があるのね!

開けてみないと分からないから、身体に決めてもらうってやつね!

という訳で手術の同意書に、その旨が手書きで追加された。


うむむ、でもこれでいいのかな?

再建には拘らないつもりだったけど

いざ出来ないかも、となると揺れる女心~(@_@)


「手術前日まで、ゆっくり考えてください。どちらでも対応できるようにしますから」


だばーーーーー(心中号泣二回目)


再建すべきか?否か?

私は手術前日まで悶々と悩むことになるのだけど

後日、入院中に仲良くなった同室の方に聞いたら

エキスパンダーを取り除くのは、日帰り外来でできるほど簡単なんだって!

でも入れるのは大変だから、乳腺外科手術の時にやるらしい。

とりあえず入れておけばいいのよ~と言われ

安心するやら、何だよーーーと思うやら。

そんな情報、どこにもなかったよーーー!

形成の先生に詳しく聞けば良かったのかな?

ヲタクっぽいとか

秋葉原行ってそうとか

いらんことばっかり考えてた自分を反省。


まだ続く!

本日のオボエテタンゴ

自怨自艾

zi4yuan4zi4yi4

くよくよする

この1か月で一生分くよくよした。もうしません。飽きました。