オボエテタンゴ

2018-09-22体感5秒

やっと迎えた手術当日。

前夜より絶食だったため、私はハラペコであった。

朝イチから点滴が入っていたので、喉の渇きはなかったけれど

お腹が空いて力が出ない~

11:30からの予定が、12時過ぎてもまだ呼ばれず

病棟内に漂う昼食の香りで、更にお腹がぐーぐー鳴って

付き添いで来てくれた夫に緊張感がないと笑われた。


12:30過ぎにやっと呼ばれ、ストレッチャーに寝かされ

夫に手を握られて励まされ、手術室の扉の向こうへ、、、

私、がんばる(涙)!

なんてドラマ仕様ではなく、自分で点滴台を押しながら

てけてけ歩いて手術フロアーへ行った。


なんだか面白みに欠けるなぁ、と思ったが

やはり手術室は別世界で、うひょー!

リアルブラックペアン!ドクターX!

超近代的で宇宙船みたい!

デジタル機材がてんこ盛り!

ライトぴかぴか!眩しい~!

手術台ほかほか!温かい~!

なにやらご陽気な曲がかかってる~♪

はっ!?

もしや希望を出せば、好きな曲をかけてもらえたのだろうかっ!?

いやいや『紅』はさすがにマズイだろう。

ここでは染まりたくないし、『X』でジャンプする訳にもいかぬ。


仰向けに寝る前、自らパジャマの上を脱ぐのだけど

若い女性看護師が上半身を毛布で隠してくれてね。

手術始まったら、恐らくすぐに真っ裸にされて

あれこれ管入れて~、なのだろうに

意識があるうちは気を使ってくれるのが嬉しかった。

そうした小さな気遣いが、患者にとっては心に残り

治療へのモチベーションが保てたりすることもあるよな、と心にメモメモ。

あらヤダ、私ったら勉強熱心。


「lingさ~ん。お待たせしてすみません。緊張されてます?」


するると近づいて来た女性。

はて?

オペ用マスクと帽子で良く分からないけど、I先生!?

あれ?

執刀医って手袋した両手を顔の高さに挙げて

最後の最後にちゃら~んと登場するのではないの!?

I先生、看護師らに紛れてますけど!?

きさくにおしゃべりしてますけど!?


見渡すと、男女混合10人以上のスタッフが居て

あれよあれよという間に、脳波やら血圧やら

いろいろな装置が手際よく着けられて

それが仕事と言えばそうだけど、こんなに沢山の人たちが

自分の命のために動いてくれているのかと思うと

ありがたさで泣きそうになるワタシ(;_;)


麻酔が入る前、最終確認。

データをパソコンに打ち込んでいるのだろうか?

仕切り役の若い男性看護師がワタワタしてて

年配の麻酔科医につっこまれていた。

若い子、いじめんといて~(完全に母目線)


I先生から患部の位置、術式、輸血の可能性などの説明。

麻酔科医から麻酔の種類、予定時間、人口呼吸器の説明。

以上を了承した上で、私が自分の名前を言って麻酔注入された。

皆さん、よろしくお願いしますぅぅぅ!!!


イ~チ(≧◇≦)


ニ~イ(≧◇≦)


すこっ!



以前にM子が全身麻酔で手術した時、意識を失うまで

がんばって5秒数えるつもりが

3秒ももたなかった!と悔しがっていたので

私も5秒は耐える!!と意気込んでいたのだが

2秒以降全く意識記憶なしという惨敗であった。

すごいな全身麻酔!


そしてう~ん、むにゃむにゃ、ではなくパキッと目覚めた。

蛍光灯が眩しい!

えっ!?

終わったの!?

それこそ体感5秒なんですけども!?

大勢のスタッフに囲まれて、ベット動いてる?運ばれてる?

て、て、転移はあったのか!?

そこんとこ、どーなの!?

足元に居るのは形成のU先生か!?

ならば再建もしたのか!?

それにしては5秒て早すぎないか!?

誰か教えてーーー!

目は覚めているけど、話せない~!

そこへ聞き覚えのある声が!


「リンパ節への転移はなかったので、予定通り再建しましたよ!」


完全オペ着仕様でも、くりくりお目目で分かるA先生!

あぁぁぁありがとうございましたぁぁ

転移なかったぁぁ

良かったぁぁ

びえーん(ToT)


すぐにベットが止まり、酸素マスクを着けられた。

ここは回復室ってやつかしら?

と思うが、いや自分の病室だよと気づいて驚く。

テレビの後ろに隠しておいた、HIDEちゃん人形を見つけたのだ。

それは娘が持たせてくれたもの。

この歳で入院の荷物にぬいぐるみを入れるのは

さすがに恥ずかしいよなぁと躊躇していたら、娘が


「推しは絶対に必要!絶対に!!」


と、ぐいぐいカバンに入れてくれた。

あぁ娘よ。君の言う通りだったよ。

HIDEちゃんの赤い髪を見て、無事に生還した実感が沸いたよ。


でもまだ意識はトロトロしていて、患部の痛みもよく分からない。

そのうち夫がやって来た。

I先生から、手術結果の説明を受けていたらしい。

なんともう、4時間以上経っていたなんて!?

ずっと待っていてくれてありがとうね。

家で待っている子どもたちが心配だから、帰っていいよ。


それから2時間、だんだんと感覚が戻ってきて

右側上半身がバキバキに痛い~!

ウトウト寝る

腕が肩からもげる~!

ウトウト

もげるーーー!

を繰り返していると、I先生がするる登場。

I先生ぃぃぃぃ

ありがとうございましたぁぁぁ

痛いですぅぅ


「やっぱり痛いですよね。痛み止め、入れましょうね」


I先生は、多分お帰りになるところだったのだろう。

私物の白いリュックを背負ったまま、痛み止め点滴を追加してくれた。

それがまぁ、抜群に効いて!

意識もしっかりしてきたし、食欲も出て来たし

もう歩けるかも?

酸素マスクと尿道管を取りましょうかと、看護師が処置をしてくれた時

聞き覚えのある声が!


「lingさ~ん!お疲れさまでした!」


ぱあぁ~っと明るいオーラ全開で現れた男性。

はて?

は、はて?



K先生ーーーーーーっ!



「今日、手術って聞いてたんで!」

「いや~、無事に終わって良かった!」


超絶笑顔!

爽やかな私服!

クリニックの帰りにわざわざ!?


「病理検査の結果が出るまで、今後の方針は決められないけれど

今それを心配してもしょうがないのでね!」

「とりあえず、身体を回復させるためによく休んでください!」

「何か問題があったら、一緒に考えましょう!」

「じゃっ!お大事に!」


だばぁぁぁぁーーー


今回は本気で泣きました。

こりゃ泣くでしょ!?

泣くよね!?

惚れるよね!?


K先生は、クリニックから紹介した患者が手術した日に

必ずこうして見舞いに来られるそうで

そんな先生は珍しいです、とベテラン看護師が教えてくれた。


嬉しかった。

純粋に、本当に嬉しかった。

それで私は治ると確信した。

いや、治さなければならない!

この先にどんな辛い治療が待っていようとも!

うおぉぉぉ!(炎)


てな訳で、冷え切った夕食をもりもり食べ

応援メッセージをくれた友人らに、手術完了の返信をして

自力で歩いてトイレにも行って

ipodでYOSHIKI CLASSICALを聞きながら、ぐーぐー寝た。

神様、ありがとうございます。

助けていただいた命、大事に使います。


本日のオボエテタンゴ

赤条条

chi4tiao2tiao2

すっぱだか

入院中は羞恥心が麻痺